番外編②洗剤の選び方

お世話になります、リスタートの三好です。
今回は番外編第2段として、お客様からいただく上位にくるご質問の1つ「洗剤の選び方」をテーマにプロの目線から解説してみたいと思います。

みなさんは「お掃除用洗剤」を選ぶ際、どのように選んでいますか?
判断基準は人それぞれですが、多くの方は「よくわからないけどなんとなく」で選んでいるのではないでしょうか。◯◯用と表記されているのに使ってみると期待した効果を得られずガッカリした経験があるという方も多いと思います。それは決して洗剤が悪いわけではないんです。効果を実感できない原因の多くは汚れの性質と洗剤成分が合っていない」ことにあります。ここからは「汚れの性質と洗剤選びの相関性」について詳しく解説します。

どんな汚れも「汚れ」として一括りにされがちですが、実際は様々な種類の汚れがあり、それらを大きく分けて「酸性」「中性」「アルカリ性」の3種類に分類することができます。


■ 酸性汚れ ・・・ 湯垢、皮脂、油汚れ、食べこぼし、生ゴミ臭、汗、他
■ 中性汚れ ・・・ 軽度の汚れ
■ アルカリ汚れ ・・・ 水垢、石鹸カス、尿石、鏡のウロコ、他


このように、汚れにはそれぞれ種類と性質があり、落としたい汚れに合った性質の洗剤を選んであげることが重要です。汚れに合った性質とは「汚れと反対の性質」を指します。「酸性」であれば「アルカリ性」がそれに当たります。その逆も同じです。反する2つの性質が混ざりあった時、互いの性質を打ち消し合う化学反応の「中和」作用が働きます。そして汚れが分解され柔らかくなり、磨く・擦る・拭く等で落ちるようになります。軽度の汚れであれば水で洗い流すだけで綺麗になることもあります。また、汚れには炭素を含む有機質と炭素を含まない無機質があり、有機系(酸性汚れ)にはアルカリ性、無機質(アルカリ汚れ)には酸性系が有効です。
つまり、洗剤効果を感じない原因の1つに「汚れの性質と同じ性質の洗剤を使っている可能性が高いから」である可能性が高いといえます。酸性汚れに対し酸性洗剤を使っているといったような状況です。


わかりやすく【浴室清掃】を具体例にあげます。

事例:浴室清掃

■ 使用する洗剤 (1種類)

   お風呂用バスマジックリン(弱アルカリ性)


■ 汚れの種類(2種類)

  ① 皮脂、湯垢(酸性汚れ)

  ② 水垢、石鹸カス(アルカリ性汚れ)


上記の場合、使用する洗剤であるバスマジックリンは「アルカリ性」の性質を持つ洗剤であることから「酸性」の汚れである「皮脂・湯垢」の汚れに対して効果を発揮します。しかし「アルカリ性」の汚れである「水垢・石鹸カス」には同質であることから効果を発揮しません。「お風呂用」と書かれて販売されているからといって、これ1本で全ての汚れが落ちるわけではありません。1種類の洗剤は1種類の性質しかないため2種類以上の性質汚れが存在する場合、1種類だけの洗剤では落ちないということになります。

軽度な汚れであれば同質の洗剤でも落とせることもありますが、プロが対応する重度の汚れに対してはほとんど効果を発揮しません。したがって洗剤選びの基本は「汚れの性質」と「洗剤の性質」との相関性を理解・判断することが基本であり重要です。


私の経験上、汚れを落とすための条件は「洗剤選び」で7~8割決まるといえます。
残り2~3割は技術・知識・作業道具などです。ここからはこれまでの解説内容をふまえ、より効率的に汚れを落とすため「性質」部分への深堀りや洗剤使用時の注意点について触れていきたいと思います。

先程、洗剤選びで重要な「酸性」「アルカリ性」「中性」の3つの性質について解説しました。ではこれらは具体的に何を指すのか。この3つの性質は全て【水素イオン濃度】を指し、略称単位として【pH】を用います。


pH(濃度)は0~14の数字で分類分けされており、中央の7「中性」を基準に0に近づく程「酸性」14に近づく程「アルカリ性」となります。濃度については「ph試験紙」等を液体に浸し、色の変化で判断することができます。「中性」が基準になる理由は、自然界で安全とされるものが中性だからです。私達が生きる上でなくてはならない「水」も中性です。中性から離れるほど刺激が強くなります。

お店で市販されている洗剤の中にはサンポールやドメストといった濃度の高い洗剤もありますが、一般の方がよく使う洗剤は安全面を考慮し水素イオン濃度を水で希釈し薄められた状態で販売されているもの(弱アルカリ~弱酸性まで)が多いかと思います。ただし、濃度が抑えられている分洗浄効果が低めともいえます。一般の方がお掃除対象に該当するいわゆる「生活汚れ」の多くは、比較的「軽度~中度」までの汚れが占めており、汚れと性質との相関性を理解した洗剤選びが出来ていれば、市販洗剤でも十分落とすことが可能です。また、作業道具を工夫することでより効果的に落とすことも可能です。

しかし、数カ月~数年、あるいは数十年といった蓄積された「重度」の汚れである場合、市販洗剤では効率が悪く手間と時間がかかる、あるいは落とせないケースが出てきます。このような場合、我々専門業者(プロ)の出番です。


業者の使う洗剤は「業務用洗剤」と呼ばれ、市販洗剤のようにあらかじめ希釈されたものではなく「原液」の状態で販売されており、汚れの状態に応じて業者自身が希釈濃度をコントロールし使用します。しかし、希釈濃度を見誤れば濃度が強すぎて素材自体を痛めることにつながる危険性や人体にも影響が出ますので注意が必要です。濃度の高い洗剤を使う場合は、塗布する時間を調整したり、使用後に反対性質の洗剤を塗布し中和させるといった作業を行う必要があります。また、汚れの状況を見て単一の洗剤だけを使うのではなく複数の洗剤を混ぜ合わせて使うことも有効です。ただし、複数の洗剤を混ぜ合わせる場合「塩素系と酸性系を混ぜる行為は絶対に行ってはいけません。混ぜ合わせると有毒ガスが発生し命の危険にかかわります。こちらはプロだけでなく一般の方にもいえますので十分ご注意ください。

いかがでしたか?
洗剤選びは実は奥が深く、重要なポイントは他にもまだまだあります。
確実にお伝えできることは、汚れの性質が複数ある以上、軽度の汚れを除き「これ1本だけを買えば落ちます!」という洗剤は存在しません。ですから、清掃業者はたくさんの種類の洗剤を用途ごとに持ち歩き、状況に応じてそれらを調整・組み合わせることで汚れをしっかり落とせるのです。

結論として「どの洗剤を使えばいいか」という問いに対し私がお答えするのであれば「市販洗剤であればパッケージ裏面を見て汚れの性質に合った洗剤をお使いください」と回答します。それでは判断できないという方は、最低でも3本(酸性・中性・アルカリ性)の洗剤を購入して使用してみてください。だいたいの汚れはこの3本のどれかで落とせるはずです。それでも落とせないという場合は、作業道具の見直しやお湯を使うといったことも効果的ですし、どうにもできないといった際には、専門業者へご相談してみてください。

以上、私の経験からの判断と解説でした。皆様の参考になれば幸いです。